むし歯治療
このページでは、
ご自身の症状やご希望に合った治療法を選択し、
むし歯とは
むし歯は、口の中にいる細菌が糖質を分解する際に産生する酸によって、歯が溶かされて穴があいてしまう病気です。
初期段階では自覚症状がないことが多く、放置すると歯の神経にまで達し、激しい痛みを引き起こす可能性があります。
むし歯の発生メカニズム
むし歯の発生には「細菌」
細菌
口の中には多くの細菌が生息しており、特に「ミュータンス菌」と呼ばれる細菌がむし歯の主な原因となります。
ミュータンス菌は歯の表面に付着しやすく、歯垢(プラーク)と呼ばれる細菌の塊を形成します。
糖質
むし歯の原因となるミュータンス菌は、食べ物に含まれる糖質を栄養源として酸を産生します。
そして、この酸によって歯が溶け始めることが、むし歯の始まりです。
ここで注意したいのは、糖質というのは甘いお菓子やジュースだけではないということです。
じつは、ご飯やパンなどの炭水化物も、口の中で糖に分解されてむし歯のリスクを高める可能性があります。
歯の質
歯の質もむし歯のなりやすさに大きく関係します。
丈夫な歯を維持するためには、以下の栄養素を食事からバランスよく摂取することが重要です。
カルシウムとリン
歯の再石灰化(溶けかけた歯の修復)を促進します。
牛乳や乳製品、小魚などに多く含まれています。
タンパク質
歯の土台となる成分です。
肉、魚、卵、大豆製品などに多く含まれています。
ビタミンA、C、D
歯のエナメル質や象牙質を強化するのに役立ちます。
ビタミンAは緑黄色野菜、ビタミンCは果物、ビタミンDは魚などに多く含まれています。
時間
「細菌」「糖質」「歯の質」の3要素が重なる時間が長くなるほど、むし歯になるリスクが高まります。
つまり、だらだらと甘いものを食べ続けたり、歯磨きを怠ったりすると、むし歯になりやすくなります。
むし歯の進行と治療法
むし歯は、進行段階によってCO(シーオー)からC4(シーフォー)までの
5段階に分類されます。
むし歯が進行するにつれて、症状が重くなり、治療法も複雑になっていきます。
早期発見・早期治療が大切です。
-
CO(初期むし歯)
歯の表面のエナメル質が溶け始めていますが、まだ穴は空いていません。
状態
- 歯の表面が白っぽく濁って見えたり、薄い茶色になったりします。
- これは、エナメル質が酸によって溶け出し、歯の内部のミネラルが失われていくために起こります。
- 痛みなどの自覚症状はほとんどありません。
治療法
- 溶け始めたエナメル質は、唾液の力やフッ素の働きによって修復されることがあります(再石灰化)。
- 歯のクリーニングや歯磨き指導を受け、フッ素を塗布することで、再石灰化を促し、むし歯の進行を防ぎます。
- 定期的な検診で、むし歯の状態をチェックします。
-
C1(エナメル質のむし歯)
エナメル質に小さな穴があいた状態です。
状態
- 歯の表面に小さな穴があき、そこに黒や茶色の着色がつくことがあります。
- これは、穴に汚れや色素が沈着しやすいためです。
- まだ痛みやしみるなどの症状はほとんどありません。
治療法
- むし歯の大きさや深さによっては、経過観察を行う場合もあります。
- むし歯が進行している場合は、歯を削って治療します。
- 削った後は、レジン(白い樹脂材料)を詰めて、歯の形や色を修復します。
-
C2(象牙質まで進んだむし歯)
むし歯がエナメル質の内側にある象牙質まで達した状態です。
状態
- 象牙質はエナメル質よりも軟らかい組織なので、むし歯の進行が速くなります。
- 冷たいものや甘いものでしみることがあります。
- これは、象牙質には神経に近い部分に象牙細管という細い管がたくさん通っていて、刺激が伝わりやすいためです。
治療法
- むし歯の部分を削り取り、レジンを詰めます。
- むし歯が大きい場合は、型取りをして製作した詰め物(インレーやアンレー)を歯に装着します。
- インレーは、レジンよりも強度が高く、耐久性に優れています。
-
C3(神経まで進んだむし歯)
むし歯がさらに深部まで進行し、歯の神経(歯髄)に達した状態です。
状態
- 歯の神経に細菌が感染し、炎症を起こしています。
- 夜も眠れないほどズキズキと激しい痛みを感じることがあります。
- 熱いものでもしみるようになり、噛むと痛むこともあります。
- これは、神経が炎症を起こして過敏になっているためです。
治療法
- 歯の神経を取り除く「根管治療」を行います。
- 根管治療は、歯の根の中の神経や血管を取り除き、消毒・洗浄して薬剤を詰める治療です。
- その後、歯を削った部分を補うために型取りを行い、被せ物(クラウン)を作って歯に装着します。
- クラウンは、歯全体を覆うことで、残った歯を保護し、噛む力を回復させる役割があります。
-
C4(歯の根だけが残ったむし歯)
歯冠部分がほとんどなくなり、歯の根だけが残った状態です。
状態
- 歯の根の周囲の骨や歯ぐきにも炎症が広がっていることがあります。
- 神経が死んでいるため、C3ほどの激しい歯の痛みは感じなくなりますが、歯ぐきが腫れたり、膿が溜まることで痛みが生じることがあります。
治療法
- 通常は歯を抜く治療(抜歯)が必要です。
- 抜歯後は、周りの歯を支えにして人工の歯を固定するブリッジ、顎の骨に人工の歯根を埋め込むインプラント、取り外し式の入れ歯などの治療法があります。
むし歯治療の種類と流れ
むし歯の治療法は、
コンポジットレジン修復、
ここでは、
それぞれの内容と手順を詳しく説明します。
コンポジットレジン修復
コンポジットレジン修復とは、むし歯治療で歯を削った部分に、コンポジットレジンという白いプラスチック素材を詰めて修復する治療法です。
治療が短期間で済み、歯を削る量を最小限に抑えられるのが特徴です。
治療の流れ
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1.かみ合わせの
チェック コンポジットレジンは、かみ合わせや詰め物の厚みによっては割れてしまうことがあります。
そのため、事前にかみ合わせの状態をしっかりと確認します。 -
2.麻酔
注射針を刺す際の痛みを軽減するために、歯ぐきに表面麻酔を塗布します。
また、細い注射針や電動注射器、体温に近い麻酔液を使用するなど、痛みを少なくするための工夫をしています。 -
3.むし歯を
丁寧に除去 むし歯の部分を丁寧に削り取ります。同じ歯に古い詰め物がある場合は、その下にむし歯がかくれている可能性もあるため、必要に応じて古い詰め物も一緒に取り除きます。むし歯を削る際には、むし歯の部分だけを染め出す染色液を使用し、健康な歯をできる限り残すようにします。
具体的には、以下の手順でむし歯を除去します。
- 1.むし歯検知液を塗布
-
むし歯の部分にむし歯検知液を塗布します。
- 2.染まった部分を削る
-
むし歯検知液で染まった部分(むし歯の部分)のみを精密に除去します。
- 3.染色と削りを繰り返す
-
むし歯は複雑な形をしていることが多く、一度ですべてを取り除くことは難しいです。そのため、染色と削る作業を繰り返し行うことで、むし歯を見逃すことなく、徹底的に除去します。
-
4.コンポジットレジン(CR)で
修復 専用の接着剤を塗り、コンポジットレジンを丁寧に詰めていきます。歯の形に合うように、盛り足しながら形を整えます。
-
5.詰め物を
固める LED照射機で光を当て、コンポジットレジンを硬化させます。
-
6.かみ合わせや形の
微調整、 研磨 かみ合わせの調整、形の整形、表面の研磨を行い、自然な仕上がりにします。
治療後の注意点
-
飲食や
麻酔に 関して 詰め物が完全に硬化するまでは、30分程度は飲食を避け、硬いものは特に注意してください。
これは、コンポジットレジン自体は光で硬化しますが、歯との接着が完全に安定するには少し時間がかかるためです。すぐに飲食してしまうと、詰め物が外れたり、すき間ができたりする可能性があります。
麻酔は、効果が切れるまで1~3時間程度かかります。
麻酔が切れるまでは唇や舌を噛んでしまうことがあるので、注意してください。 -
術後の
知覚過敏に 関して むし歯が深かった場合は、一時的に歯がしみるなどの知覚過敏が起こることがあります。
症状が強い場合や長引く場合は、遠慮せずにご相談ください。
インレー・アンレー・クラウン修復
むし歯の大きさや場所、残っている歯の量などによって、詰め物や被せ物を装着して修復する治療法があります。
これをインレー・アンレー・クラウン修復といいます。
インレー・アンレー・クラウンとは
インレー、アンレー、
歯が一部欠損した部分を
むし歯の大きさや進行度合いにより、
-
インレー
アンレーよりも小さく、歯のかみ合わせの面を含まない修復物です。小さなむし歯に用いられます。
-
アンレー
インレーよりも大きく、歯のかみ合わせの面を一部覆う修復物です。中くらいのむし歯に用いられます。
-
クラウン
歯のかみ合わせの面をすべて覆う修復物です。歯全体を覆うため、被せ物とも呼ばれています。大きなむし歯に用いられます。
治療の流れ1日目
-
1.かみ合わせチェック、
麻酔、 むし歯除去を 行います コンポジットレジンは、かみ合わせや詰め物の厚みによっては割れてしまうことがあります。
そのため、事前にかみ合わせの状態をしっかりと確認します。 -
2.歯の形を整える
詰め物や被せ物を装着できるように、歯の形を整えます。
この際に、健康な歯がどれだけ残っているかでインレー、アンレー、クラウンのいずれかの形にしていきます。 -
3.歯型を取る
上下のかみ合わせを記録し、歯型を取ります。
この歯型をもとに、歯科技工士が詰め物を製作します。 -
4.仮の詰め物や
被せ物を 装着 削った部分に、レジンなどで作られた仮の詰め物や被せ物(仮蓋)を装着します。
詰め物の製作(通常1~2週間)2日目
-
1.仮の詰め物や
被せ物を 取り外す 仮の詰め物や被せ物を外し、歯の状態を確認します。
染みるなどの痛みを感じる場合は、必要に応じて麻酔を行います。 -
2.詰め物や
被せ物の 微調整 歯科技工士が製作した詰め物や被せ物を歯に合わせ、かみ合わせの調整と表面の研磨を行います。
-
3.詰め物や被せ物の装着
歯科用セメントで詰め物を装着します。
-
4.セメントの硬化
セメントが硬化するまで、綿を噛んでいただきます。
- 上記は一般的な治療の流れです。詰め物や被せ物の種類、患者さまの状態によって、実際の手順や使用する材料、治療期間などは異なる場合があります。
治療後の注意点
-
飲食や
麻酔に 関して 詰め物や被せ物を装着した直後は、セメントが完全に硬化するまで時間がかかります。
30分程度は飲食を控え、特に硬いものは避けましょう。
また、麻酔を使用した場合は、効果が切れるまで1~3時間程度かかります。
麻酔が切れるまでは唇や舌を噛んでしまうことがあるので、注意してください。 -
術後の
知覚過敏に 関して むし歯が深かった場合や、金属の詰め物や被せ物を装着した場合は、一時的に歯がしみるなどの知覚過敏が起こることがあります。
症状が強い場合や長引く場合は、遠慮せずにご相談ください。
保険の
詰め物・被せ物の種類と特徴
保険診療では、
コンポジットレジン
コンポジットレジンは、プラスチックの一種で、歯の色に近い白色をしています。
比較的小さなむし歯に使用されます。
メリット
- 歯の色に近いため、目立ちにくい
- 保険適用で費用を抑えることができる
- 治療期間が短く、1日で治療が完了する
デメリット
- 変色したり摩耗したりしやすい
- 強度が低いため、割れたり欠けたりしやすい
金属製の
詰め物・被せ物
金属の詰め物・被せ物は、おもに銀合金や金銀パラジウム合金で作られています。
メリット
- 強度が高く、かみ合わせの強い部分にも使用できる
- 保険適用で費用を抑えることができる
デメリット
- 歯と詰め物の間にすき間ができやすく、そこからむし歯になることがある
- 目立ちやすい
- 金属アレルギーの人は使用できない
- 熱伝導率が高く、冷たいものや熱いものがしみやすい
CAD/CAMインレー、
CAD/CAM冠
CAD/CAM
CAD/CAMとは、コンピュータを使って詰め物や被せ物を設計・製作する技術です。
CAD/CAMインレー、CAD/CAM冠は、レジンとセラミックを混ぜたハイブリッドレジンの素材で作られます。
メリット
- 保険適用で白い歯にできる
- 金属アレルギーの方でも使用できる
デメリット
- 自然な歯の白さや透明感とは異なる
- 変色したり摩耗したりする
- 表面に傷がつきやすく、プラークがたまりやすい
- 強度が低いため、割れたり欠けたりしやすい
- すべての歯に適用できるわけではない
自由診療の
詰め物・被せ物の種類と特徴
見た目の美しさや、
自由診療の詰め物・
当院では、
e-maxインレー・クラウン
二ケイ酸リチウムガラスセラミックという素材で作られた詰め物・被せ物です。
ガラス製のセラミックのため、透明感があり天然歯に近い色合いをしているのが特徴です。
メリット
- 透明感が高く、自然な歯に近い
- 着色や変色しにくい
- プラークがつきにくく、むし歯や歯周病になりにくい
- 金属アレルギーの心配がない
デメリット
- 歯ぎしりや食いしばり、かみ合わせが強いと割れるリスクがある
- 歯を削る量が多い
- 費用がかかる
ジルコニアインレー・
ジルコニアクラウン
ジルコニア
人工ダイヤモンドとも呼ばれるジルコニアで作られた詰め物・被せ物です。
強度と耐久性が高く、かみ合わせの強くかかる奥歯にも使用できます。
メリット
- 強度と耐久性が非常に高い
- e-maxよりも安定した素材のため、より着色や変色がしにくい
- プラークがつきにくく、むし歯や歯周病になりにくい
- 金属アレルギーの心配がない
デメリット
- e-maxと比べると透明感が低い
- 歯を削る量が多い
- 費用がかかる
ゴールドインレー・
ゴールドクラウン
ゴールド
金合金で作られた詰め物・被せ物です。
金属の中でも生体親和性が高く、アレルギー反応が起こりにくいのが特徴です。
また、ゴールドはしなやかで歯にぴったりとフィットする性質を持っているため、歯の形にしっかりと馴染みます。この特性により、詰め物と歯の間にすき間ができにくくなり、むし歯菌の侵入を防いで再発リスクを低減します。
メリット
- 生体親和性が高く、アレルギー反応が起こりにくい
- しなやかで歯にぴったりとフィットし、歯とのすき間ができにくい
- むし歯の再発リスクが低い
- 耐久性が高い
デメリット
- 見た目が目立つ
- 費用がかかる
ダイレクトボンディング
審美用のコンポジットレジンを直接歯に盛り付けて、形を整える方法です。
短期間で、白くて目立ちにくい仕上がりとなるのが特徴です。
メリット
- 歯を削る量を抑えられる
- 治療回数が少ない
- ほかの自由診療の詰め物と比較して費用が抑えられる
デメリット
- むし歯の箇所や大きさによっては適応できないことがある
- コンポジットレジンは変色しやすい
- 強度が低く、割れたり欠けたりするリスクがある
- 経年的に劣化し、再治療が必要になる場合がある