前歯の白いシミの治療
このページでは、
その特徴や原因、
どうぞ、
ホワイトスポットとは?
ホワイトスポットとは、歯の表面にできる白い斑点のことです。具体的には、歯の最外層であるエナメル質が正常に形成されなかったり、初期のむし歯によってエナメル質のミネラルが溶け出したりすることで起こります。
ホワイトスポットは、見た目が白く濁っていたり、光沢がなくツヤがない状態になっていることが多いです。
痛みなどの自覚症状はほとんどありませんが、審美的な問題から歯科医院を受診される方が多くいらっしゃいます。
なぜ白く見えるの?
ホワイトスポットが白く見えるのは、
-
健康な歯
エナメル質は緻密で規則正しい結晶構造をしているため、光が一定方向に反射され、光沢のある白色に見えます。
-
ホワイト
スポット エナメル質の結晶構造が乱れることで、光がさまざまな方向に乱反射したり、反射が減少することから白濁して見えます。
ホワイトスポットの主な特徴
- 歯の表面が
白く濁って見える - 茶色や黄色に変色している
こともある(ブラウンスポット、 イエロースポット) - ホワイトスポットの部分は
光沢が失われ、 ツヤがない - ホワイトスポットの表面は
滑らかな場合と ザラザラしている 場合がある
ホワイトスポットの原因
ホワイトスポットの原因は
エナメル質形成不全
歯の表面を覆っているエナメル質は、身体の中で最も硬い組織で、歯を守る大切な役割をしています。
エナメル質形成不全とは、このエナメル質がうまく作られなかった状態のことをいいます。
原因はさまざまですが、遺伝的な要因や、お母さんのお腹の中にいるときや小さいころに、カルシウムやビタミンDなどの栄養が不足したり、高熱や感染症などの病気にかかったりすることで、エナメル質がうまく作られなかったことが考えられます。
エナメル質形成不全にみられる
ホワイトスポットの特徴
ホワイトスポットの
- 左右の同じ歯に同じような形で現れることが多いです。
- 歯の一部分に現れることもあれば、歯全体が白濁することもあります。
- 斑点状、帯状、溝状など、さまざまな形があります。
- 歯の表面が滑らかな場合とザラザラしている場合の2パターンがあります。
初期むし歯
初期むし歯は、むし歯菌が出す酸によって歯の表面が溶かされることで起こります。
むし歯菌は、プラーク(歯垢)の中に住んでいて、私たちが食べた糖分をエサにして酸を作り出します。この酸によって、歯の表面のエナメル質が溶けることを「脱灰」と言います。
初期むし歯の段階では、エナメル質の表面は溶けずに、内部から溶けていく「表層下脱灰」という現象が起こります。
そのため、初期むし歯は肉眼ではわかりにくく、白く濁って見えるホワイトスポットとして現れることが多いです。
初期むし歯にみられる
ホワイトスポットの特徴
ホワイトスポットの
- 表面がザラザラしていることが多いです(脱灰によってエナメル質の表面が粗くなるため)。
- 斑点状に現れることが多い(脱灰が進行すると、ホワイトスポットが癒合して、帯状や面状に広がることもある)。
- プラークが溜まりやすい場所にできやすいです。具体的には、歯と歯の間、歯と歯ぐきの境目、奥歯の溝、矯正装置の周りなどが挙げられます。
- 初期むし歯のホワイトスポットは、適切なケアを行えば削ることなく、再石灰化によって治癒する可能性があります。
ホワイトスポットの治療法
ホワイトスポットの治療法は、
主な治療法は以下の通りです。
1.MIペーストとフッ素による再石灰化療法
歯の再石灰化を促進する、フッ素入りの歯磨き粉とMIペーストを長期に併用することで、ホワイトスポットを目立たなくする方法です。
比較的小さなホワイトスポットが気になっている患者様に有効的な治療法です。
MIペーストとフッ素による
再石灰化療法のメリット・デメリット
再石灰化療法の
メリット
- 費用が安い
- 歯を削らない
- 自宅で行える
デメリット
- 効果が出るまで時間がかかる
- 期待する効果が得られない場合がある
MIペーストについて
MIペーストの主成分
牛乳由来成分のカゼインホスホペプチド(CPP)とアモルファスリン酸カルシウム(ACP)が主成分です。
MIペーストの主な効果
-
ホワイトスポットを
目立たなくする 歯の再石灰化を促進することで、歯の表面の小さな穴を修復し、ホワイトスポットを目立たなくします。
-
歯を強くし、
むし歯を予防する CPP-ACP(牛乳由来の成分)が、カルシウムとリン酸を歯に供給し、エナメル質の再石灰化を促進します。
これにより、酸に溶けにくい強い歯を作ります。
歯の再石灰化とは
歯の表面は、食事などで酸性に傾くと、カルシウムやリンなどのミネラルが溶け出してしまいます(脱灰)。MIペーストは、溶け出したミネラルを補給して、歯の表面を修復する(再石灰化)働きがあります。
MIペーストの使用方法
- 歯磨きの後に、歯ブラシや綿棒で塗布して、3分間口に含んだ後、吐き出して30分間飲食を控えます。
MIペーストの使用頻度
- 毎回の歯磨き後と就寝前に使用するのが望ましいです。
- 毎回の歯磨き後が難しい場合は、就寝前に使用してください。(むし歯の発症リスクが高い、就寝中の時間帯に合わせて使用するのが、最も効果的です。)
- また、フッ素入りの歯磨き粉での歯ブラシ後に使用するとより効果的です。
注意点
- 乳製品アレルギーの方は使用できません。
フッ素入り歯磨き粉について
フッ素入り歯磨き粉の主な効果
-
MIペーストとの
相乗効果 フッ素入りの歯磨き粉もMIペーストも、ともに歯の再石灰化を促進する効果があります。
そのため、よりホワイトスポットを目立たなくする効果や、初期むし歯の進行を抑制する効果が期待できます。 -
歯を
強くする フッ素がエナメル質に取り込まれると、歯の主成分であるハイドロキシアパタイトが、より安定したフルオロアパタイトに変化します。
フルオロアパタイトは酸に溶けにくい性質を持つため、むし歯の原因となる酸から歯を守り、歯質を強化する効果があります。 -
再石灰化の
促進 食事などによって口の中が酸性になると、歯の表面からカルシウムやリンなどのミネラルが溶け出す脱灰が起こります。フッ素は、この脱灰された部分に作用し、唾液中のカルシウムやリン酸と結合することで、再石灰化を促進します。これにより、初期むし歯の進行を抑制し、歯の修復を助ける効果が期待できます。
-
むし歯菌の
活動抑制 フッ素には、むし歯の原因菌であるミュータンス菌などの活動を抑制する働きもあります。具体的には、フッ素は細菌の代謝を阻害し、酸の産生を抑えることで、むし歯の発生を予防します。
2.Icon(アイコン)治療
ホワイトスポットは、エナメル質の脱灰や形成不全によって、内部に微細な空隙が生じ、光が乱反射することで白く濁って見えます。
アイコン治療では、特殊な樹脂をこれらの空隙に浸透させることで、エナメル質の屈折率を均一化し、表面を滑らかにすることで、光の乱反射を抑えます。
アイコン治療のメカニズム
-
アイコン治療では、まず歯の表面を酸性物質で処理し、エナメル質の表面を粗くすることで、樹脂が浸透しやすくなるようにします。
-
次に、エタノールを塗布して歯の表面を脱水することで、樹脂の浸透をさらに促進させます。
-
そして、エナメル質とほぼ同じ屈折率を持つ、低粘度の特殊な樹脂を塗布します。この樹脂がエナメル質の微細な空隙にまで浸透することで、光の乱反射が抑えられ、ホワイトスポットが目立たなくなります。
アイコン治療の
メリット・デメリット
メリット
- 歯を削らない
- ほとんど1回の治療で終わる
- 処置時間も1時間程度と短時間で終わる
- ラミネートベニア治療と比べて費用が抑えられる
デメリット
- エナメル質が非常に薄くなっている場合や、以前にレジン充填を行った部分には、アイコン治療が適応できない場合がある
- 術後に行うホワイトニングの効果がやや低下する可能性がある
- 経年的に後戻りする可能性がある
- 保険適用外の治療である
費用
横にスクロールしてご確認ください
| 説明 | 料金(税込) | |
|---|---|---|
| アイコン治療 |
自由診療です。 特殊な樹脂をエナメル質内の空隙に浸透させて光の乱反射を抑え、ホワイトスポットを改善します。 |
2歯まで 33,000円 |
3.ダイレクトボンディング
ダイレクトボンディングとは、審美用のコンポジットレジンを用いて歯を直接修復する治療法です。
ホワイトスポット治療においては、ホワイトスポット部分の歯の表面を少し削り、そこに歯の色調に合わせたコンポジットレジンを盛り付けて、光で硬化させることで行います。
ホワイトスポット治療における
ダイレクトボンディング
ダイレクト
ホワイトスポット自体は病気ではありません。そのため、気にならなければそのままにしていても特に問題はありません。
しかし、審美的に気になる場合は、MIペーストやアイコン治療などの歯を削らない治療を試みることがあります。これらの治療で効果が得られない場合や、より的確な改善を希望する場合に、ダイレクトボンディングが選択肢となります。
ダイレクトボンディングの
メリット・デメリット
メリット・
メリット
- ほとんど1回の治療で終わる
- ホワイトスポットに対する効果が高い
デメリット
- 健康な歯を削る必要がある
- 経年的に詰め物の劣化し、取れることがある
- 経年的に着色や変色することがある
- 保険適用外の治療である
費用
横にスクロールしてご確認ください
| 説明 | 料金(税込) | |
|---|---|---|
| ダイレクト ボンディング |
自由診療です。 コンポジットレジンを使って歯の形や表面の状態を修復します。 |
1歯 33,000円 |
4.ラミネートベニア
ラミネートベニアとは、歯の表面を薄く削り、そこに薄いセラミック製の板を貼り付ける治療法です。
ダイレクトボンディングよりも歯を削る量は多くなりますが、クラウン(被せ物)に比べるとはるかに少ないです。
セラミックは、審美性に優れており、変色や着色にも強く、プラークもつきにくいため、長期間にわたってきれいな状態を維持することができます。
歯を削らない治療法で効果が得られない場合は、ラミネートベニアも選択肢の一つとなります。
ラミネートベニアの
メリット・デメリット
メリット・
メリット
- 元の歯よりも白くできる、周りの歯の色に合わせて自然な色味に調整することも可能
- すきっ歯や軽度の歯の乱れも改善できる
- 変色や着色に強く、耐久性に優れている
デメリット
- ダイレクトボンディングよりも歯を削る量が多い
- 強い衝撃や、硬いものを噛むことで、破損や外れるリスクがある
- 歯ぎしりや食いしばりの癖が強い方、重度の歯並びの乱れがある方は、ラミネートベニアが適さない場合がある
- 保険適用外の治療である
費用
横にスクロールしてご確認ください
| 説明 | 料金(税込) | |
|---|---|---|
| ラミネート ベニア |
自由診療です。 歯の表面を薄く削り、薄いセラミック製の板を貼り付けます。 |
1歯 154,000円 |